この小説では、写し身を『小狼』、本物を小狼と記述しています。
ああ・・・・・・・
闇とは、どうして俺を呑みこまんとするのだろう。
『小狼』は、溜息にもならない吐息を漏らした。
わかってる。
全部、全部、俺が悪いと。
俺のせいで、
俺のせいで、
一番守りたかったもの、一番大切にしたかったものを失った。
俺のせいで、
俺のせいで、
たくさんのヒトの心と身体を傷つけた。
だから―――――。
歩く。
底なしの沼のような闇を、ただ歩き続ける。
どこに行く訳でもない。
行く場所など・・・・・・・ない。
ただ、何かを求めるように。
―――――違うな。
『小狼』は、また小さく嗚咽を漏らした。
求めているのだ。
何を?
・・・・・・・・・何かを。
嘘、だ。
俺は、知っている。
求めているものを。
・・・・求めるべきものを。
でも・・・・・・・・。
それは、もう二度と求めてはいけないもの。
もう二度と――――――
『それは、違うよ』
どこからともなく、声がした。
『小狼』は顔を上げる。
永遠と続いている筈の闇の中に、キラキラと光る何かが浮かんでいた。
『いいんだよ、帰って来ても。
ううん、帰って来て』
それは、世界で一番聞きたかった声。
『小狼』が―――――
“自分自身”が、求めていたもの。
無意識に、腕を伸ばしていた。
届くわけないのに、
そんなの嫌というほどわかっているはずなのに。
掴みたくて、手を伸ばす。
待って。
俺も―――――いきたい。
また無意識に、走りだしていた。
そんなの無駄な抵抗だなんて、この自分が一番良く知っている。
でも、気付いた。
――――――自分は、見栄をはっていただけ。
求める事で失う『何か』を、恐れていただけ。
『小狼』は、光――――――“求めたいもの”に向かって、大きく手を伸ばした。
「待って―――――!」
『おいで。
一緒に・・・・・・・行こう?』
・・・・・・・・それが、届くはずもないものだと知っていても。
“俺”は、求めたい――――――
〜後書きという名の言い訳〜
お話の時間的には、23巻でさくらが『桜』となって散ってしまったあとに、姿をくらました写し身小狼の心境、・・・のつもりです。
何よりも大切にしていたものを、それも自分の手で失わせてしまった『小狼』。
きっと、傷ついたとかそんなありきたりの言葉じゃ表現できないくらい、辛かったんだろうなぁと思います。
思うがままに書いてしまったので、おかしいところも多いかと・・・・・。
でも、今の私の状態じゃ(え)直せそうにもないので、もうちょっと落ち着いてから書き直すかも(^^ゞ
その時はよろしくお願いします。
**8月17日 ところどころ修正しました**
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